ドラマ『ファースト・クラス』を編集者の視点で観てたら「ココが変かも」 が5つあった(その2) | やぎおインフォ  
   
               
   

ドラマ『ファースト・クラス』を編集者の視点で観てたら「ココが変かも」 が5つあった(その2)

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ドラマ『ファースト・クラス』を編集者の視点で観てたら「ココが変かも」 が5つあった(その1)
こちらの続きです。

http://www.fujitv.co.jp/firstclass/index.html
2014年春、フジテレビの土曜ドラマ。女性ファッション誌『FIRST CLASS』の編集現場を舞台に、女同士のドロドロとした人間模様の中で出世していく新米編集者の姿を描いたシンデレラ・ストーリー。

ココが変2 自分の企画を他の人が動かすなんてヒドい! という常識

序盤で、吉成ちなみは企画会議には参加できないものの、他の編集部員を経由して企画を出す、というシーンがあります。結果的に提出した企画は採用になり、他の編集者が担当することに。それに対して吉成ちなみが「ヒドい!」的な反応をしたという流れです。

こちら、そもそも吉成は企画会議に参加できない立場だったわけですから、ヒドいも何もないわけですが、それは置いておいて。

まず、企画者が編集担当にならないことは、雑誌ではざらにあります。もちろん、そうではない編集部もあると思います。ここでは、「提出した企画を別の担当が動かすタイプの編集部」について考えます。

このタイプの編集部では、企画はあくまできっかけにすぎません。企画会議とは、「編集長に企画を預けにいく集まり」ともいえます。提出された企画を見て、「誰が形にしたら、商品として成立し、雑誌の売上に貢献できるものになるか」「誰に預けたら、企画の切り口として新しいものに見えるだろうか」といったことを考えるのが、このタイプの編集部における編集長の仕事なのです。

「なぜそんなことをするのか! 企画を出した人がそれをやらないとフェアじゃないじゃないか!」という声が聞こえてきそうです。ええ、その通りですね。仮に編集部員全員に能力があって、企画力があれば。

そう。そのようなやり方にする理由は、「その媒体に合った企画を出せる人が偏ること」「力のない人がいること」です。これはチーム仕事に必ず付いて回る問題です。

例を挙げましょう。
ここに、企画力という力のない編集部員がいたとします。その部員は、「回す能力が高い」とか「細かい間違いをよく見つける」といった長所があったとしましょう。でも、企画力がないので、企画会議に提出した企画は箸にも棒にもかからないのです。そんな人材を、編集長は「企画力がないから」といって飼い殺しにしていいでしょうか。ダメですよね。そのために、企画会議で提出された他の人の企画を「回してもらう」のです。

逆の例を挙げましょう。
企画力だけはすばらしい編集部員の場合です。その部員は、最初の発想、つまり企画はよくできているのです。ただ、「実際に動かすのが苦手で、いつも校了ギリギリ」「細かい間違いがとても多い」という欠点があります。企画者が担当者という仕組みの編集部であれば、彼(彼女)はかなりの量の企画を動かさなくてはならなくなります。ですが、商品には誤植が多いのはもちろん、ちらほらと深刻なミスがあり、校了がギリギリなので印刷会社など、編集部の外との関係がとてもよろしくないです。そんな彼(彼女)には、「他の人の企画で、補強が必要な企画を考えてもらう」「アイデアが大切で細かいミスが起こりにくい企画」などを任せるほうが、雑誌のためになると思いませんか?

こういうことで、吉成ちなみの「ヒドい!」に違和感を覚えていたのです。
いかがでしょうか。

残り3つはこちら。

ココが変3 他人のパソコンにアクセスしてファイルを捨てたりできる
ココが変4 編集者が自分でデザイン(レイアウト)をしている
ココが変5 社長や重役の承認を得ずに編集長が次の編集長を指名する

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