音楽理論を独学している素人がヒット曲の構造を分析して、作曲のヒントになるものがないかを記録しています。今回は2020年末ヒット中のBTS「Dynamite」です。
目次
世界レベルで通用する楽曲の理由を言語化できるか?
原曲はこちらからどうぞ。
こもったようなキックの四つ打ち、スラップベースのゴリッとした個性、さわやかながら厚みのあるクラップ。控えめにエレピとエレキギター。ギターはクリーントーンでミュート弾き、薄味のほうがおいしくいただけるんですよといったような味付けに。ヴォーカルはハイトーンでクリア。
全体的には、出るものは出て、引っ込むものは引っ込む。ダンサブル要素(四つ打ち、クラップ)とファンキー要素(スラップベース、ギター)の両方を半々でブレンドしたようなサウンドだと思いました。
こういったブレンド感が今っぽいということなのかもしれません。
サビは4コード×4のミニマル進行
コード進行はC#m(VI)→F#m(II)→B7(V)→E(I)。6251、トニック→サブドミナント→ドミナント→トニックとオーソドックスな進行です。サビ1回につき循環コードは4サイクルします。
また、曲最後にセカンダリードミナントのD#を足がかりにして1音上のFメジャーに転調、サビを歌って曲は締めくくられます。
サビ前半のメロディはリズムが決め手
サビ、前半の2サイクルは前小節のEから続いて
C#→B→A→G#→F#→E、1654321とダイアトニックを下降しています。
こちらはStudio Oneに打ち込んだサビ部分です。黄色がヴォーカルのメロディ、紫がベースです。
書き出すと至って普通というか特徴がない感じなのですが、ポイントが4点あります。
どれもダンサブル&ファンキーなノリを出すためのものです。
まずはベースについて、コード弾きで裏の裏拍(1拍の中で4つめの16分)を使っています。
そしてヴォーカルについては3つポイントがあります。
- ヴォーカル:全7音をスタッカートぎみ(16分音符相当)で発声する
- サビ始まりのE音、サビ最後のF#、Eは表の裏拍で発声
- このうちF#は裏の裏拍、Eは裏拍で発声
サビ後半のメロディはリズムが決め手
サビ後半、循環コードの3サイクルめはこれまでのメロディとは逆にダイアトニックを上昇するパターンにしています。
B→C#→E→F#→G#→A→G#→A→B→G#
さらに、どの小節も裏の裏拍から始まる音符があるという状態で、これが3サイクルめのリズミカルさ(ノリ)につながっていることがわかります。
サビ前半・後半共に言えるのは、メロディに使っているのは6音で、D#(VII)は使っていない点です。冒頭で書きましたが、このD#という音はセカンダリードミナントのII7として転調時に足がかりに使われています。
進行・メロディはオーソドックスでベーシックだった
今回「Dynamite」を分析して、メロディやコード進行はとてもオーソドックスだということがわかりました。そのぶん、やはり楽器の音色選び、サウンドプロダクション、ルーム感のつくり方などが今っぽさを左右するんだなと実感しました。
※分析はあくまで勉強中の素人によるものです。もし間違いがありましたらご指摘ください。修正いたします。
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