ドラマ『ファースト・クラス』を編集者の視点で観てたら「ココが変かも」 が5つあった(その3・完結) | やぎおインフォ  
   
               
   

ドラマ『ファースト・クラス』を編集者の視点で観てたら「ココが変かも」 が5つあった(その3・完結)

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ドラマ『ファースト・クラス』を編集者の視点で観てたら「ココが変かも」 が5つあった(その1)
ドラマ『ファースト・クラス』を編集者の視点で観てたら「ココが変かも」 が5つあった(その2)
こちらの続きです。

http://www.fujitv.co.jp/firstclass/index.html
2014年春、フジテレビの土曜ドラマ。女性ファッション誌『FIRST CLASS』の編集現場を舞台に、女同士のドロドロとした人間模様の中で出世していく新米編集者の姿を描いたシンデレラ・ストーリー。

ココが変3 他人のパソコンにアクセスしてファイルを捨てたりできる

吉成ちなみが残業して作り上げた企画書ファイルを、木村白雪(田畑智子)が無人の編集部で削除。
ここです。「おいおい、会社のパソコン、セキュリティヤバいだろ」と思ってしまいました。

編集部で使ってるパソコンには、外に漏れると問題が起きるデータが山ほど入っているはずだからです。社内の機密情報。ファッションブランドやメーカーさんから提供してもらった、開示前の情報。誌面に掲載予定の芸能人の写真などなど……。

使用者のパスワードをかけずに使うなんていうのは、この時代、お粗末な職場と思われても仕方ありません。
個人情報保護法的にもアウトですよ。演出だから、ドラマだからという逃げはきかないでしょう。
少なくとも、編集という仕事を知らない人に誤解されそうで、残念です。

ココが変4 編集者が自分でデザイン(レイアウト)をしている

まず、雑誌の誌面に限らず、印刷物を制作するには、主に編集、ライター、デザイナー、オペレーター、カメラマンという5種類の職種がかかわるのが基本です。

このうち、デザイナーは誌面のレイアウトを通じて情報を整理し、なおかつその記事に合った雰囲気を作ります。オペレーターは、デザイナーが作ったレイアウトに掲載する情報をはめ込み、印刷会社で印刷できる体裁に整えます。
ものによっては、デザイナーがオペレーターを兼務することがありますが、その逆、オペレーターがデザイナーを兼務することはあまりありません。

編集者は、オペレーターを兼務することはあります。テキストの流し込みを編集者が行うという編集部もあります。
が……。写真のレイアウトとか、見出し、キャッチの配置、つまりデザイナーの範疇の仕事を、編集者みずから行う雑誌編集部というのは、ぼくは聞いたことがありません
しかもモノがファッション誌ですから。

デザイナーはいないんでしょうか?

ココが変5 社長や重役の承認を得ずに編集長が次の編集長を指名する

ありえません。編集長は雑誌の顔であるだけでなく、会社の顔でもあります。ドラマ内で社長が吉成ちなみに対して言った「君が新しい編集長か」というセリフは、現実では絶対にありえないです。
このセリフはつまり、社長が編集長になる人の決定に噛んでいない、ということですから。

一般企業に置き換えてみてください。部長さんが次の部長さんをみずから指名して、決定事項として社長に連絡しているってことですよ?
そんな会社、ありますか?

と、なんだか重箱の隅をつつくようなポストを連投してしまいましたが、演出過剰なつくりに、つい言いたくなってしまいました。

編集現場というものを知らない人にとって、誤解が起こらないことを切に願います。

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