SEのための美しいパワポ(PowerPoint)資料作成、5つのポイント 紙資料編 | やぎおインフォ  
   
               
   

SEのための美しいパワポ(PowerPoint)資料作成、5つのポイント 紙資料編

SEが伝わるパワポ、読みやすいパワポをつくるにはどうするか、というエントリの第2弾です。

第1弾は「プロジェクターで投影する資料の場合」でしたが、今回は、紙資料の場合のデザイン・構成のコツを書いてみることにします。

なお、ここで解説する5つのポイントを読んで実践してみようという方は、まず自分が「読みやすいな、好感の持てるデザインだな」と感じる市販の雑誌や書籍を手元に置いてください。そういう、デザイナーさんがつくったものを見ながら、このエントリを読んでもらえると、よりぼくの伝えたいことがわかってもらえるのではないかと思います。

紙で配布する資料 POINT1――枚数を極力少なくする

SEが作成する資料は、冗長なものが多いと聞きます。プログラミングもシステム構築も、ロジックを構築するのが仕事なので、ていねいに解説しようとしてしまうのでしょう。「不要な部分を端折る=編集する」というテクニックが不足しているのです。

冗長な資料は、「え…こんなに…?」と読む側に圧迫感を与えるのはもちろんですが、読んでも論点が伝わりにくくなります。プレゼン資料としては失格です。

プレゼン資料は論文ではありません。伝えるべきことをコンパクトにまとめ、客観的な視点で余分な話を排除、なるべく少ない枚数でまとめるように努めましょう。

配布する枚数の目安として、できれば1枚、それが不可能な場合でも最大5枚までに収めます。もし枚数が増えてしまう場合は、最初の1枚はアジェンダに徹して目次のみを掲載するようにします。そうしておけば、聞く側も準備ができます。

紙で配布する資料 POINT2――行長と行間に配慮して、「文字を組む」

ある程度の文章を読んでもらわなくては始まらない、そんな場合もあります。そういう、ひと続きの文章を資料に掲載する場合、デザイン的にまず考慮してほしいのが、「行長」と「行間」です。

●行長:1行の長さ(1行の文字数) 目安は1行20~30文字程度
●行間:行と行のすき間の広さ 目安は各行1文字相当のアキ

です。この2点を守るだけで、ゆとりがある、読みやすい資料になります。

行長と行間のほかに大切なのは、文字の大きさです。実は文字の大きさは、紙資料の場合、ある程度小さくても気になりません。

ただし、ひとつの基準があるとすれば、読み手が老眼かどうか、ということです。もし読み手に老眼の方がいるようであれば、文字は大きめに、1文字5mm程度の大きさを確保するようにしましょう。

これは笑い話ではありません。老眼の読み手がいる場合、たいていはその読み手はプレゼンを通すためのキーマンであることが多いでしょう。老眼になると、細かい文字が見えにくくなります。もちろん、老眼鏡を用意しているはずですから、紙資料を読むために老眼鏡をかけ、読み込んでくれるでしょう。そんなときに、会議机の向こうにすわったあなたが、参考資料として雑誌を取り出し、それを片手に口頭で追加解説を始めたらどうなるでしょうか。その老眼の読み手には、あなたやその雑誌があまり見えません。老眼は、裸眼では近くのものは見えにくく、遠くのものはしっかり見えます。老眼鏡をかけると、それが逆になります。

つまり、老眼の読み手が紙資料を読もうとして老眼鏡をかけたのに、あなたが離れたところからプレゼンをし始めてしまったら、読み手に余計なストレスがかかるのです。

そうした事態を避けるため、老眼の読み手がいる場合には、文字サイズを大きめにしておくことをお勧めします。

紙で配布する資料 POINT3――上下左右(天地左右)の余白をきちんと取る

印刷物、特に雑誌や書籍をパラパラとめくってみて、上下左右の余白がどのくらいあるかを見てみてください。ふだんは意識していないページの余白が、意外に多くあることに気付かれると思います。

正確に言えば、ざっくり「若者向けににぎやかに=余白を少なく」「大人向けに落ち着きを感じさせる=余白を多く」と2種類に分けられます。プレゼン資料の大半は後者、落ち着いて読んでほしいものだと思いますので、余白をきちんととるようにしたほうがよいのです。

余白をとると、行長が長くなりすぎないようにできるという実際的効果があるのはもちろん、なにより文書に余裕が生まれ、読むべき個所が絞られます。また、副次的効果ですが、余白をメモなどに利用できるというのも意外に大切かと思います。

紙で配布する資料 POINT4――雑誌のデザインを参考にする

ネット全盛の時代、情報はあっという間に消費され、流れていきます。これは、あらゆる情報についてそうなっている、と考えたほうがいいでしょう。プレゼン資料だってそうです。情報の取捨選択にかける時間がどんどん短くなっている。だから、端的に、メリハリを付けて伝えることが必要です。
そういったノウハウの最良のお手本は雑誌(週刊誌・月刊誌)です。ファッション誌、カルチャー誌、ゲーム誌などなど…。パラパラとめくりながら、ざーっと読み飛ばしたとしても、ざっと書いてあるものが何かわかるような雑誌は、いいお手本になると思います。

ぼくのおすすめはいくつかありますが、日経エンタテインメントはシンプルでわかりやすいかと思います。
まず、1ページの面積に対して、記事のタイトル、見出し、小見出し、写真、文字(本文)がどの程度の比率(大きさ)でレイアウトされているかを、ざっと確認します。

確認してもらうとわかると思いますが、文字ひとつとっても、タイトル扱いなのか、本文扱いなのかなどでかなり大きさが違います。また、小見出しは黒ではなくて色がついていたり、飾りで四角形がついていたりと、目に留まるような工夫が施されていることがわかるでしょう。

雑誌のレイアウトを注意深く確認する習慣をつけると、デザイナーではなくても、デザイナーっぽいプレゼン資料がつくれるようになります。レイアウトやデザインは、奇抜なことをするのでなければ、パターン化、定番化しているからです。

紙で配布する資料 POINT5――文章は極力短く編集、または箇条書きに

5つめのポイントは、プレゼン資料ならではの考え方です。POINT4では雑誌を参考に、と言いましたが、文章の書き方についてはマネをしてはいけません。このブログのように、主語述語と接続語でしっかりと構成した、読むことを想定した日本語の文章は、プレゼン資料には不向きなことが多いです。

不向きなことが“多い”と書いたのは、配布した資料をプレゼン終了後に読み込んでもらうことがあらかじめ織り込み済みの場合を例外的に考えたためです。そういう場合には、読むことを想定した日本語文章が盛り込まれていても問題ありません。雑誌のレイアウトを参考にして、読みやすい本文レイアウトをするとよいでしょう。

そうでない場合、その場で理解してもらわなくてはならない資料の場合(このケースのほうが多いのではないでしょうか)、長ったらしい文章はかなりのデメリットになります。なぜなら、まず読んでくれないからです。

読んでほしいのであれば、文章は極力短く、あるいは箇条書きにしましょう。そういうふうに取捨選択を考えて資料をつくっていると、実際に伝えたいことがかなり絞り込まれることに気付くでしょう。その結果、端的でわかりやすい資料ができあがるはずです。

紙資料編のPOINT解説は以上です。
少し時間をいただきますが、続く第3弾は、理論的なお話ではなく、実際にケーススタディで考えてみようと思います。

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