家賃、立地、家庭の事情などで築年数のだいぶ経った木造の戸建てや賃貸に住むと、ちょっとしたところに不便さを感じるときがあります。ここでは、そういうお家で少しでも楽に暮らすための便利グッズや、ちょっとしたDIYの方法を紹介します。
特に築浅の家から引っ越して来た方へ
世間では「古民家」などともてはやされることもある昭和40~50年代に建てられた木造の家ですが、実際に住んでみるとなかなか大変だったりします。
特に築浅のコンクリート造の賃貸などから引っ越してくると、「あれ?こんなに不便なの?」と思うようなこともたくさん…。
とはいえ、もう住んでしまったなら腹を決めるしかありません。創意工夫で少しでも快適な生活を送れるようにアレンジしていきましょう。
現状復帰可能なアレンジ7つ
古い家とはいえ、退去時の現状復帰義務から逃れられないケースが多いと思いますので、まずは家を傷つけないアレンジを7つ紹介します。
ドアノブにレバーを付ける
一昔前までは、ドアは握り玉がついたものでした。古い家にあるドアはたいていこの握り玉タイプですね。レバータイプのドアに慣れてしまうと、このタイプがとても不便に感じます。両手に物を持ったままではまず開けられませんし。
そこでオススメしたいのが、握り玉に被せるプラスチック製ドアレバー。
被せてネジを軽く留めるだけです。握り玉との間にはゴムが入っているので、滑りません。ホントにドアの開け閉めが楽になりますよ。お風呂場のドアにも使えます。
執筆現在、写真に掲載したドアレバーは生産終了したようですが、類似品として2つ紹介しておきます。
蛇口にレバーを付ける
キッチン周りも昔と今では大きく変わりました。特に変わったのが蛇口ハンドル付近。現在のスタンダードは、レバーの上げ下げで水を出す・止めるができて、さらに左右に振ってお湯と水を変えられるタイプですよね。
古い家では、水とお湯の蛇口がふたつあって、三角あるいは丸いハンドルになっています。三角ならまだしも、丸いハンドルは本当に回しにくくてきついです。お料理中の汚れた手で丸いハンドルをひねるのはとにかくしんどい。ハンバーグなんかをこねた、ぬるっとした手でひねるなんて地獄ですよ。
そこでオススメするのが、丸いハンドルに被せるだけでレバー式にできるアイテム。これを取り付ければ、手の甲で押してお湯を出すなんてこともできるようになります。
この写真の例では、お湯と水両方が丸いハンドルで、お湯のほうだけにレバーを装着して、レバーを引く/押すでお湯を出す/止めるができるようにしたものです。
付けたのはこちらの商品です。
また、三角の蛇口ハンドルを外して、ハンドルを付け替えてしまうタイプのレバーもあります。
この写真も、お湯と水両方が三角のハンドルでしたが、お湯のほうだけハンドル上のネジを外してレバー付きのものに替えてあります。
付けたのはこちらの商品です。
ネジをペンチで外す手間はありますし、外したパーツは原状復帰のためなくさないように保管しておく必要はありますが、施工の効果は絶大です。
シンクのすき間にアルミテープを貼る
シンク周りで言うと、やっぱり現在のキッチンはよく考えて作られています。シンクでの作業で水が飛んでもシンクに流れていくようなつくりになっていたり、すき間なくコーキング(すき間をふさぐこと)されていたり。
対して古い家では、キッチン台がポコンと置かれていたり、シンクで洗い物をしたら水滴が床に飛んだりするようなものも多いです。
対策として万全なのは、ホームセンターでコーキング剤を買ってきて自分で埋める方法ですが、これは原状復帰に影響が出ます。そこで、原状復帰が可能な範囲でできる対策として、アルミテープを貼るという施工をオススメします。
写真では、シンク左端の幅が狭くて、そのままだとやっぱり左側に水が飛びがちです。そこで、シンク横にある大きな冷蔵庫とのすき間にアルミテープをビシッと貼って、床に水が飛ぶのを防いでいます。
階段に滑り止めテープを貼る
これは古い家に限らずですが、2階建て以上の戸建てで室内に木の階段がある場合、手すりが付いていても滑ったりする可能性があるので危ないです。靴下をはいているだけで滑りやすいですし、夜中寝ぼけながら階段を降りるというのもけっこう危険。
そこでオススメなのが、3Mの滑り止めテープ「セーフティ・ウォーク」です。
表面はかなりザラザラとしていて、触っただけで強力なのが伝わります。階段の境目に貼って使っていましたが、かなり強力に滑り止めしてくれました。もちろん手すりにつかまりながら降りますが、足が滑ることはまずなくなります。
いくつか種類がありますが、この写真で使ったのはこちらです。
引き戸のすき間にすきまテープを貼る
古い家の困った点はとにかく気密性が低いことです。冬場ビュンビュンにすき間風が入ってくるなんてこともよくあります。特に引き戸やドアの建て付けが悪くなって、すき間ができてしまうケースが多いです。
そこで、特に引き戸にオススメなのはすきまテープ。
引き戸の端っこにピーッと貼って閉めるだけですき間風がかなり減ります。ついでに戸当りの音もしなくなって一石二鳥です。
すきまテープには幅と長さでいくつか種類があります。貼る引き戸の幅は測ってピッタリ合うものを使ったほうがいいと思います。
断熱材としてプラダンを貼る
すき間テープだけでは防げない寒気もあると思います。つくり自体がガッチリしていない家の場合、窓際がとにかく冷えるなんてこともありますね。
そんな時はプラダンがオススメです。プラダンとは、プラスチックでできた軽い板のようなものですが、ダンボールに似ていて、間に空間があってクッション性があり、断熱・保温ができるアイテムです。
ダンボール自体、実はなかなかの断熱材になることは路上生活者の方を見ていてもわかるかと思いますが、プラダンは半透明なので、採光もできるのがポイントです。
カッターで簡単に切れますし、定規なんかを使って折ることもできますので、寒い窓のサイズに合わせて切って、貼って剥がせる強力両面テープで貼り付ければ、室内は明るいまま断熱・保温対策ができます。
プラダンはサイズや色などバリエーションが豊富です。使うことでメチャクチャおしゃれにはならないと思いますが、お部屋で違和感にならないものを選ぶといいでしょう。
扉、ドア、換気扇類に潤滑油をさす
古い家の賃貸でまずやってくれないのが、扉やドア、換気扇など設置済みの建具や備品のメンテナンスです。ドアがきしむ、戸車がガタガタ言う&重たい、換気扇のパワーがなんとなく足りない、というケースでは、自転車用の潤滑油が大活躍します。
特にこの写真で使っているAZ社の「CMK-001 超極圧・水置換オイル」は優秀です。頻繁に動く場所でも強く、水をはじくのでサビの心配もなく、ゴムを変質させることもない、プロの自転車用メンテナンスオイルです。
金属部にシュッと一吹きしてオイルを回すようにすれば見違えるように蘇るケースが多いです。試してみてください。
現状復帰できないアレンジ2つ
続いて、大家さんあるいは管理会社に許可をもらって行うアレンジを2つ紹介します。なぜわざわざそこまでして、と思うのですが、これらは「害虫」対策です。古い木造住宅にはすき間がたくさんあることが多く、下水まわりの施工が不十分なことも多いため、ゴキブリ、ムカデ、ダンゴムシ、ハエ、アリなど、害虫が住み着きやすいのです。
そういう場面に直面したことを想像してください。許可をもらってでもやる価値があると思いませんか? もちろん、大家さんや管理会社が修繕してくれていればいいのですが、そこまでやってくれないことが多いので、自分でやるしかありません。
水回りのシーリングとコーキング
水回り、特にシンク下の棚の中はよくよく確認してください。すき間がある場合、そこから害虫が侵入してくる可能性があります。そういった穴はシーリング(封印すること)またはコーキングで対応するのがいちばんです。
もし大家さんや管理会社からNGが出てしまったら、固まらないパテで代用することも可能です。
「ねりけし」を少し固くしたようなもので、自由な形ですき間を埋めることができます。
難点としては、取りにくいこと。金属のヘラなどで大部分を取ったあと、ティッシュなどで何度かこすって落とすことになります。がんばれば、一応原状復帰に近いところまでは持っていけるでしょう。
この写真では、台所の下のすき間を茶色のシーラント(シーリング材)で埋めています。なぜこんな場所にすき間が空いていたのかナゾですが、事実ゴキブリが出入りしているのを目撃してしまいました。水回りのこんな場所にすき間があったら出入りするのは当然ですね…。やむを得ずシーラントを使いました。
シーリング(コーキング)はシーラント(材)を汎用のコーキングガンにセットして、トリガーを引きながら少しずつ出して施工します。
家の外のコンクリートひび割れ補修
実際に体験した話として、家の玄関外、排水レーンのひび割れから大量にムカデが発生して、家の中に侵入されたことがありました。排水レーンをよくよく観察してみると、あるわあるわ。ひび割れがたくさんあって、下水とつながっていろんな虫が出入りしていました。
こういうことが古い家では本当に多いです。大家さんや管理会社に修繕義務があるだろうと、ふつふつと怒りがこみ上げてきますが、報告・相談しても相手にしてもらえない場合、自分でホームセンターでセメントを買ってきて埋める、という方法を提案してみるのもいいと思います。
セメントはそんなに高くないですし、施工もそんなに難しくありません。乾けばガッチリと固まって、コンクリート(あるいはモルタル)になります。
この施工に使用したのはこちらの商品です。
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